Shio's 感じたことやら考えたことやら。。


by linsshio

ミシガン大学レポート~その1:Prof. Dan Moermanに会った

c0002089_0524525.jpgDetroit Metropolitan Airportに降りる飛行機からは、葉を真っ赤に染めたり、すっかり落としたりした木々が平たい大地にすっくと立っているのがよく見えた。曇った空に湿った空気・・秋から冬に変わる11月のミシガンは、一年に数回はSnow Stormで道路がシャットアウトされるという厳しい冬の片鱗を見るようで、その緊張感のある空気が気持ちいい。めざすDearbornはデトロイトの空港から車でおよそ30分、University of Michigan, Dearborn(ミシガン大学ディアボーン校)や車のフォードの本社がある街だ。今回は滞在する1週間、ミシガン大学に入り浸ろうと決めて、宿も道を挟んですぐ隣(といってもその道がやたらと広い)の小さなキッチン付のものにした。
今回の旅のkeywordsとして頭に浮かんでいたのは、Nature、Herbs、Native American、そして Environment。一人旅って思いがけないことが起こりがち、静かにチャンスを得た旅だったという感じかな。今日は、報告その1ということで、Prof. Dan Moermanにお会いしたときのことを書いてみる。

c0002089_0533559.jpg「朝の10時にAnthropology のラウンジで。」・・そう約束してモエマン教授にお会いした。10月の日記に書いたように彼は、モンゴロイドの使っているハーブを対象に、主にネイティブアメリカンのハーブについて、何をどう使っているのか?共通性は?・・というふうに文化人類学のカテゴリーでハーブの研究をしていて『Native American Ethnobotany』という名著を記した方だ。
モエマン教授はその真摯な目で私を見てこう尋ねた。「志緒、君はどうしてネイティブアメリカンのハーブに関心があるのかい?君はどんな仮説を立てて何を知りたいのかい?」・・。

アメリカの夏山でみた可愛い花を咲かせた植物のほとんどすべてがネイティブアメリカンのハーブだと知って興味を持ったこと、ネイティブアメリカンの文化についての文献を読むと私たち日本人ととても近い世界観を持っていると感じること、日本のハーブの使い方と共通性があるのではと思うこと、ハーブの活用の共通性に世界観や哲学的な共通性があって同じモンゴロイドであることが何か関係しているのではと思うこと・・などと私は答えた。

そしたらモエマン教授、「ネイティブアメリカンには数多くの族がある。それぞれの族にそれぞれの哲学とそれぞれのハーブの使い方がある。同じハーブを使っていても使い方はとてもバラエティーに富んでいるんだ。民族の移動や世界観の共通性がハーブの活用の共通性の背景にあることはなきにしもあらずだけれど、それを要因として結論づけることはとても難しい。志緒、私は君くらいの年から30年間ネイティブアメリカンのハーブの活用について調査してきて、ハーブの使い方と民族の関連はとてもトリッキーで複雑だということが今のところの結論だ。」と言う。・・ふむふむ、モエマン教授はそう考えているのですね。

c0002089_0535616.jpgそしてモエマン教授の話は続く。「イギリスと韓国とメキシコの南部で、ハーブの使い方にとても似ているところがあるんだ。それについてどう思う?志緒?遺伝的なものだと思う?」「No」(・・と私)。「地理的なものか?」「No」(・・と私)。「誰かが教えたのか?」「I don’t know.」(・・と私)。「3つの国は地理的にはとっても離れていて、民族的にもなかなかつながりを感じることは難しい。多分彼らはハーブを前にしてゼロからスタートしたんだ。そうしたら共通性があるように出来上がっていた。そうとしか考えようがない。」・・それって例えば人間に必要な言葉が、言語は違っても概ねどこにでも基本的に揃っているってことと同じなのかな~?・・と考え込む私に、モエマン先生は畳み掛けるように「なにしろトリッキーで複雑なんだ。」と繰り返す。そしてまた旅に出て行って、比較研究を続けるのだろう。この10月はタイに行ってきたらしい。比較したその先に見ている先生の仮説は何なのかな・・?今度伺ってみようと思っている。

モエマン先生とお話して、私がまずじっくりやるべきことは具体的に観ることができる生き物としての植物そのもの、生き物としてもヒトそのものを対象にした研究であることを再確認した。そして正しい事実を重ねていき、考えることが大事だなとあたりまえのことだけれど再度思った。

モエマン教授は日本のハーブ事情にも興味を持ってくださった。「日本にもともとあるハーブは、おばあちゃんの世代の方が使いこなしていたと思う。」と私が言うと、ネイティブアメリカンもそうだと言っていた。そして「私の母の世代、つまり志緒のおばあさんの世代のアメリカ人は薬が大好きだよ。新薬がブームだったからね。」と言っていた。「今では、Timeとかの雑誌でもテレビでもなんでもハーブのことが出ているし、9歳の子供だってエキナセアが免疫力を上げるってことを知っているけれど、私がハーブの研究を始めたころは学問分野として周囲の誰もが「何それ?」という感じだった。」・・と世の中変わったものだと話してくださった。そんな話を聞きながら、なんだかちょっと「おタッキー」な雰囲気のモエマン教授がとてもいい感じに思えた。また連絡してみよう!

それにしても大学というところは居心地がいいなと、ミシガン大学のカフェテリアでにわか学生のように毎日お茶しながら思った。勉強しよう、研究しよう、何々をしよう!というポジティブな空気が流れているってことだろうか。報告その2では、高校生とご一緒したEnvironmental Interpretive Center(環境教育センター)のお話をしようと思う。

c0002089_102923.jpgp.s.今回重宝したホテルのキッチンはこんな感じでした。
by linsshio | 2006-12-21 00:38 | 旅した